J-1 visaでアメリカ研究留学
注意:下記の情報は2015年12月時点で筆者が体験したものです。visa手続きなど当時のものから大きく内容が変更している可能性がありますのでご留意願います。
こんにちは、Dr. Saitoです。
私は、このブログを本格的に始めた当初、アメリカのテキサス州にある大学に自身の研究のために留学していました。
今後、研究者を目指す大学院生にとって、研究のために海外に滞在する(学位留学とは別)ための間口はどんどん広くなるように思います。そんな大学院生にとって、「これを見れば留学の手順の大枠がつかめる」ようなページがあれば便利だなと思い、自身の体験を踏まえて研究留学の画策から、留学に至るまでのスケジュールをまとめたいと思います。
下記の内容の対象となるのは、大学院生か博士取得後の研究者が、初めてJ-1 visaで米国に渡航する場合です。結婚していて奥さんを連れて行く場合にも一応対応。想定としては、学振の書類を書きながら「どこかに1年くらい研究留学を組み込めればな〜」と、ぼんやり思っている人向けです。すでに研究留学を見据えて動いている人はこのブログを見ないだろう笑。
概要
1)渡航先を決める(渡米1年〜4ヶ月前)
2)J-1 visa申請の必要書類を揃える(渡米4ヶ月〜2ヶ月前)
3)アメリカ大使館にて面接(渡米2ヶ月〜1ヶ月前)
1.渡航先を決める
研究留学で最も大事な部分である受け入れ先の選定は、早ければ早いほど良い。言わずもがなだが、この時点で研究課題が決まっていることが絶対条件です(でないとそもそも選べない)。できれば、事前に国際学会等でもいいので、受け入れ先の先生と顔を合わせておくといいでしょう。
また、渡航費や滞在費をどちらが出すかという点も渡航先決めに大きく影響を及ぼします。自分の研究費(日本学術振興会特別研究員、留学のための奨学金など)で行く場合、渡航先決めのハードルは大きく下がります(米国の場合)。(欧州では、そうでもないようで、むしろ欧州の大学は一部お金を出したり、留学する学生にDouble Degree Programに応募させる場合もあるらしい)。
私の場合は、当時の指導教員と受け入れ先の教授が知り合いでした。渡航の1年半前の国際学会で実際に受け入れ先の教授にお会いして話をし、また、滞在期間や研究内容(作業の分担など)の具体的な話は渡航の半年前から行っていました。研究費や滞在費は自分持ちだったので、トントン拍子で話が進みました。
以上のことから、考えられる2パターンは
- 留学予定日の1年以上前から受け入れ先の教員と密に連絡を取り合い、研究計画を双方で練りながら受け入れを承諾してもらう。
- 研究費もしくは資金を取ってきて、研究計画に適した受け入れ先を探し、コンタクトを取る。
もちろん、上記の両方を行うことが望ましいです。
ちなみに、話がまとまってもそのまま指をくわえて待っていては、留学手続きも遅れをとってしまいます。「留学手続きに時間がかかるから、今すぐにInvitation letterを送ってもらえませんか?」と念を押すこと。3日経っても返信がこなければ、(忙しすぎて)忘れている可能性大。待つスタンスではなく、自分から動くスタンスで!
2.J-1 visa申請の必要書類を揃える
留学の受け入れ先が決まったら、次はvisa手続きです。J-1 visa面接に必要な書類は渡米1ヶ月半〜2ヶ月前を目安に全て集めたいところです。必要な書類のうちDS-2019は受け入れ先大学を通じて発行されるもので時間がかかる(およそ1ヶ月)ため、まずはこちらの発行に必要な書類から集めましょう。
DS-2019の発行に必要な書類(全て英字)
- Invitation letter
- 収入・研究資金の証明書(銀行の残高証明など)のコピー
- 渡航期間をカバーする旅行保険証のコピー
- 渡航期間をカバーするパスポートのコピー
- CV(履歴書)
- 大学院時代の成績証明書
- 学位証明書(※博士号取得者のみ)
- 研究計画書(受け入れ先と相談を重ねて)
- 語学力証明書(TOEFLなど)※大学院生の場合のみ?
青字は、同行家族がいる場合に人数分必要なもの(J-2 visa)。ちなみに同行家族が増えると、収入・研究資金の証明書(銀行の残高証明など)の下限額が厳しくなります。
鬼門なのが、語学力証明書。TOEFLは大体の大学がの大学が80点以上を条件としている(おそらくMITとかCalTechはもっと高いだろう)。スコアを持っていない場合は受験まで時間がかかったり、また受験費用も高いために何回も受けられないので、自分の語学力に自信がないなら早めに準備することをお勧めします。
もし、受ける時間的猶予がない場合、もしくは受かりそうもない場合は大学に問い合わせるといいでしょう。ビデオ会話テストと称して語学力のテストを行ってもらえます(そして、余程酷い語学力でなければ合格するだろう)。
上記の書類に加えて受け入れ先が指示したフォーマットのDS-2019リクエストフォーム(Webからダウンロードして取得)などに情報を記入して、合わせてレターパックに入れて受け入れ先に返送する。
DS-2019に必要な書類を送ったら、visa面接に必要な他の書類も集めましょう。
Visa面接に必要な書類(全て英字)
- DS-2019
- DS-160(webからオンライン作成)
- カラー写真(実物、電子データ)
- SEVIS支払い領収書(webでクレジットカード払い)
- 面接予約確認書
- 戸籍謄本または婚姻証明書(とその英字翻訳)
青字は、同行家族がいる場合に人数分必要なもの(J-2 visa)。緑字は同行家族のうち配偶者が必要なもの。うちの場合は、自分で翻訳しました(でもこれで大丈夫でした 笑)。面接予約確認書はvisa面接予約後に手に入ります。また補足資料として、DS-2019で必要だった書類も用意しましょう。子供を連れて行く場合はわかりません(予想は戸籍謄本とその翻訳だけど)。面接予約確認書以外の書類が全て揃ったら、webからvisa面接予約を行います(同行家族も含めて一度予約を行えばよい)。面接の日時を選んで登録したら、面接予約確認書をプリントアウト。当日持っていきます。なお、面接の時間は、なるべく早い時間帯が良いです。理由は後述。
3.アメリカ大使館にて面接
さて、面接当日になったら朝イチで会場に向かいます。溜池山王駅を拠点とすると良いでしょう。駅のコインロッカーは何箇所かありますが、溜池山王駅11番、12番出口付近のコインロッカーがもっとも利便性が良いと思います。ちなみに、アメリカ大使館に最も近い出口は13番出口です。
多くの人が余裕を持って面接時間の30分前に来るので、30分も長蛇の列に並ぶことになります。なので、面接の時間が最も早い8時だと、あまり外で待たされることもありませんが、8時半や9時だとかなりの時間を外で待たされます。できるだけ早い時間に予約しましょう。また、時間に余裕を持つことも大事です。私の場合は、予定時刻の1時間以上前に来て、溜池山王駅13番出口からほど近いドトールで朝食を食べました。
アメリカ大使館の中には、携帯電話、面接に必要な書類、小さなバッグ(25 cm × 25 cm)以外持って行くことができません。なので、ノートパソコンなど持ち込み不可のものをコインロッカーに預けることを忘れずに。私の場合は、小さなトートバッグに携帯電話と書類を入れて行きました。
面接予約時間の30分前にセキュリティーチェックを受け大使館内に入ります。入口の受付で、全ての書類を見せて、建物の中に入ります。窓口に行って番号を受け取り、自分の番号が呼ばれるまで待ちます。自分の番号が呼ばれたら、面接スタートです。まずは、書類を提出し、指紋を取ります。次に隣の窓口に行き、英語で面接をします。訊かれた質問は、
「大学はどこ?」-->東北大学です。
「アメリカに何しに行くの?」-->研究です。
「何の研究をしているの」-->大気科学の研究をしています。
「滞在が終わった後はどうするの?」-->日本に帰って研究します。
以上。その場でJ-1 visaが承認された旨を知らされ、注意事項が書かれた書類を渡されて面接終了です。1週間以内に、visaスタンプ付きのパスポートが送られて来ます。
いかがでしょう?結構時間がかかるので、早め早めを意識して動くといいということがわかると思います。ちなみに私の場合は、
- 2015年8月31日:Invitation Letter が届く
- 2015年11月2日:DS-2019発行のための書類を送る
- 2015年11月30日:J-1 visa面接のための書類集め完了
- 2015年12月4日:J-1 visa面接
- 2015年12月10日:J-1 visaスタンプ付きパスポートを受け取る
- 2015年12月31日:渡米
というスケジュールでした。見てわかる通り、書類集めに手間取りました。当時書類集めにかなり焦っていて精神的にきつかった記憶があります。書類集めを終えてから面接まで4日でしたが、時期によっては予約可能日が1ヶ月先である場合もあるようです。私はラッキーでした。もう一度言いますが、早め早めに動いてください。
それではみなさん、J-1 visaで研究留学を楽しんでください!
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